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『Mask of Sanity』 CDライナー解説(1)

広瀬和生/BURRN!

 あの素晴らしきメロディアス・ハード・ロック・バンド、SINNERが、最高のアルバムを引っ提げて帰ってきた!
 80年代からコンスタントに活動を続けてきたSINNERが、2003年に通算13枚目のスタジオ録音アルバム「THERE WILL BE EXCUTION」から、今回のニュー・アルバム「MASK OF SANITY」の発表まで3年以上の空白期間を経ることになった理由は、何よりリーダーのマット・シナーが多忙を極めていたことである。彼はこの7年間ほど、『Nuclear Blast Records』のレーベル・マネージャーも務めているが、それ以上に大きいのは、彼がラルフ・シーパースと組んでいる正統派メタル・バンドPRIMAL FEARの存在だ。
 話を整理するために、まずSINNERの歴史から振り返ってみよう。
 マット・シナー(本名マティアス・ラーシュ)は1963年ドイツのシュトゥットガルト近郊で生まれ、13歳の時に最初のバンドSHIVAを結成、1979年までライヴ・バンドとして活動したが、若すぎたこと、ビジネス・パートナーに恵まれなかったこと等で活動は頓挫。マットは新たにSINNERを結成することになる。(実は、このSHIVAの“幻のデビュー・アルバム”が今回30年の時を経て完成され、もうじき発売されることになっている)
 SHIVAはトリオ編成のハード・ロック・バンドだったが、SINNERにおいてはツイン・ギター編成で、よりメタル寄りのエッヂの鋭いサウンドと美しいメロディを同居させた独特な音楽を追究した。THIN LIZZYからの影響を反映させつつも、マット・シナーの優れたメロディ・センスが光るユニークなSINNERのHM/HRサウンドは、既に1982年の1st「WILD 'N' EVIL」、1983年の「FAST DECISION」等で充分に開花しているが、マット自身によれば、インディーズから発売されたこの2枚は「単なるデモ音源を勝手にレコードにされた」ものだという。
 マットにとって“正式なデビュー・アルバム”は『Noise』と契約して初めてリリースした3rdアルバム「DANGER ZONE」(1984年)だった。この時のSINNERのラインナップはマットの他にSG・ストーナー、ミック・シャーリー、ラルフ・シュルツ。同作リリース後のSINNERはツアーを開始するに当たってミックの代わりに元ACCEPTのハーマン・フランクを、ラルフの代わりに元VICTORYのバーニー・ヴァン・ダー・グラフを迎える。1985年に名作「TOUCH OF SIN」を発表すると、その後のツアーで問題のあった2人のギタリストに代わってエンジェル・シュライファーとマティアス・ディートを迎えてツアーを続行、新作の制作に入った時点でエンジェル・シュライファーが脱退したためアンディ・ズゼミールを迎えて5th「COMIN' OUT FIGHTING」を1986年にリリースする。
 隆盛の道を辿るジャーマン・メタル・シーンの中で、数多くのメンバー・チェンジを経ながらも着実にキャリアを築いていったSINNERだが、次の6th「DANGEROUS CHARM」(1987)をリリースした後、ちょっとした転機を迎えることになる。同アルバム制作途中でマティアスがU.D.O.に引き抜かれたため後任にアーミン・ミュッケを迎え、アルバム発表後にはアンディも脱退して、代わりにトム・ナウマンを加えて活動を続けたSINNERは、ヨーロッパではシングル“Knife In My Heart”をスマッシュ・ヒットさせたものの、レーベルへの不信感を強めたマット・シナーは、他にもバンド内に問題を抱えていたため、当時のSINNERを一旦解散させて『Noise』と決別する。
 1990年にマット・シナーはソロ・アルバム「BACK TO THE BULLET」を発表、この制作に関わったトム・ナウマン、アレックス・バイロット、フランク・ルスラー、トミー・レッシュらを従えてソロ・ライヴを行なったことから、このバンドが自然と再結成SINNERになっていく。アレックスが渡米してしまったためアンディ・ズゼミールを呼び戻したSINNERは1992年に「NO MORE ALIBIS」を発表。1993年の名作「RESPECT」はアンディが脱退して4人編成でレコーディングされたが、ツアーに当たってはエンジェル・シュライファーが復帰。この時、ドラマーも元VICTORYのフリッツ・ランドウに代わっている。
 その後エンジェルが再び脱退、アメリカから戻ったアレックス・バイロットが復帰したSINNERは1995年に「BOTTOM LINE」をリリース。この時のツアーの模様はライヴ・アルバム「IN THE LINE OF FIRE」として1996年に発売され、同じラインナップのまま10枚目のスタジオ・アルバム「JUDGEMENT DAY」も日本では1996年に、欧州では1997年にリリースされることになる。

日時: 2006年12月27日 16:55
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