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藤木昌生氏 『WHITE SANDS』CD解説(3)
これで勢いに乗ったMAD MAXは、9月にアコースティック・ミニ・アルバム「IN WHITE」をリリース。さらにマイケル・ヴォスとユルゲン・ブレフォートはスペインのマロルカで、リラックスした最高のムードの中で曲作りを行ない、それらのマテリアルを持ってスタジオに戻ってレコーディングを開始。本作「WHITE SANDS」が完成したのである。
前作「NIGHT OF WHITE ROCK」とそれに続くミニ・アルバム「IN WHITE」、そしてこの「WHITE SANDS」と、どれも“WHITE”という言葉でつながっているが、これは現在の彼らがクリスチャン・バンドであることを表わしている。かつて90年代に、悪魔崇拝/アンチ・キリストを標榜する“ブラック・メタル”という音楽が台頭し始めた頃に、それに対抗するものとして“ホワイト・メタル”(=クリスチャン・メタル)というイディオムが使われたことがあったが、MAD MAXの言う“WHITE”の源流も同じだろう。「NIGHT OF WHITE ROCK」以降、彼らのアルバム・カヴァーには必ずMAD MAXのロゴが乗った十字架が描かれている。
それはともかく、音楽的には前作の流れを汲んだメロディアスかつ叙情的なハード・ロックが満載された、いかにもMAD MAXらしいアルバムである。彼らの曲作りは、音楽担当がマイケル、歌詞担当がユルゲンと、明確な分業制になっているようだが、相変わらずマイケルの優れたポップ・センスというものがモノを言っている。さらに、何と言ってもマイケルの唯一無二の歌声である。このちょっぴりハスキーな、甘くてエモーショナルな歌声がMAD MAXの最大の武器、個性と言っても過言ではない。この声があるからこそ、楽曲の持つ魅力が最大限に光り輝くのである。
元来、MAD MAXはもっとヘヴィ・メタル寄りのサウンドを得意としており、80年代のデビュー以降、2000年の「NEVER SAY NEVER」(「CRIMINAL RELIGION」)までは現在よりもアグレッシヴな音楽スタイルだった。それは、マイケル・ヴォスがあえてポップなCASANOVAとの差別化を計る意図でそうしていたのだと思っていたが、前作からはある意味でCASANOVAに近いポップなサウンドを指向するようになっている。そのあたりは本人に聞いてみないとわからないが、たぶん無理にスタイルを区別して考えるよりも、純粋に良い音楽を作りたいという欲求、そして、ユルゲン・ブレフォートとの共同作業こそが重要なのであり、その結果がヘヴィであろうとポップであろうとMAD MAXに変わりはない、との意識で取り組んでいるのではないだろうか。
なお、本作には日本盤ボーナス・トラックとして前述のアコースティック・ミニ・アルバム「IN WHITE」が追加収録されているが、その内容は、“To Hell And Back Again”と“Bad Day In Heaven”は前作「NIGHT OF WHITE ROCK」に収録されていたナンバーのリメイク、“Hello Father”は新曲、“Lonely Is The Hunter”は3rdアルバム「STORMCHILD」に収録されていたナンバーのリメイク、“Open The Eyes Of My Heart”はクリスチャン・ロック・シーンで有名なポール・バローチェのヒット曲のカヴァーとなっている。
マイケル・ヴォスにはCASANOVAでの活動やソングライター/プロデューサーとしての仕事もあり、また、アクセル・クルーゼは90年代前半からJADED HEARTのメンバーとしても活躍しているが、現在はMAD MAXの活動が波に乗っているということで、彼らはこれを最優先に考えて取り組んでいるようだ。実際、1月末から2月上旬にかけて、彼らはAXEL RUDI PELLと一緒にヨーロッパ・ツアーを行なったはずだし、この文章を皆さんが読んでいる頃にはまた新たなツアーを行なっている可能性も大きい。願わくば、その延長線で近い将来、MAD MAXの初来日が実現してくれればと思う。
2007.2.1 藤木昌生/BURRN!(ヘヴィ・メタル専門誌)
日時: 2007年03月01日 18:48
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