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「FLIGHT OF THE RAVEN」 CD解説:行川和彦 (5)
個々の曲に関しては、メンバーから届けられたコメントを抜粋して掲載しておく。
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1.「WITH FRIENDS LIKE THESE」
自ら敵を作りたがるやつなんて誰もいない。
2.「REEPER」
ドイツの有名な歓楽街”Reeperbahn(夜の街としてヨーロッパでも有名なハンブルグにある歓楽街)”のことさ。ハンブルグの人々にとっても、その街を体験できることはラッキーなのさ。ロックンロールのドイツ魂がまだ息づいている場所で、夜遅くまでその街を体感すれば、必ず曲のアイディアが見つかる街、でもある。
3.「NOT HUMAN」
暴力的シーンは、決していいものではない。まったく歓迎できたものじゃない。長いツアーの最中に、飲んだくれの街で争いごとに巻き込まれると、その先のツアーに影響が出るし。決していいクオリティーにはならない。
4.「CZECHOSLOVAKIA」
今は正確にはチェコ共和国だけど、チェコスロヴァキアだった頃のこと、荒涼とした雨の日々の中、田舎町をドライヴした時のことを思い出す。以前は鉄のカーテンの向こう側だった。だからチェコスロヴァキアなんだ。この歌は、そんな「アンラッキーな魔力」のことで、向こうの情景をよく思い出すんだよ。多くの犠牲者たちのことをね。
5.「FRESCO」
この曲に関して本当のことを打ち明けることはできない。少なくとも俺らのことじゃない。万国共通のコンセプト、”地獄に落ちた??”。
6.「FLIGHT OF THE RAVEN」
俺たちの親友で、このアルバムのレコーディング中に彼が悲鳴を立てるのがうまいことが発覚して、それ以来”Raven(カラス)”っていうあだ名で呼んでいるんだ。彼は基本的に無邪気なんだけど、時々めちゃめちゃになる。彼は俺たちのツアー・マネージャーでもあるんだけど、ツアー中のある夜、ホテルの7階の窓から飛ぼうとした男でもある。周りが必死で止めて事なきで終わったんだけど、今でも思い出すとゾッとするね。本人はまったく覚えてないみたいだけど。
7.「YOU LET ME DOWN」
かなり個人的な話。
8.「VENOMIZED」
ジャック・エンディノはこの曲をドラッグについての曲だって考えていたみたいだけど、俺たちはただ、毒された物についてクールに歌っているだけさ。
9.「A DOSE OF SOMETHING YOU DON'T NEED」
俺たちは確かにそんなやつらがいることは知っている。
10.「TARGETS」
『Targets(邦題:殺人者はライフルを持っている!/1968)』という映画から内容も引用していて、タイトルもそのまま拝借している。
11.「THE MANIAC」
ハリウッドの安ホテルに1ヶ月滞在していたら、不運な人たちに多く遭遇する。そんな中の一例が、”ザ・コーナーストーン”。一日中一晩中街角にずっと立っていた。街の様子を気にするんでもなく、周りの人も気づいているんだけど見てみないふり。
12.「THE BUTTON」
もし誰かを底無しにがっかりさせるためのボタンがあったとしたら、君はそのボタンを押すかい?そして誰がそのリストに載るんだろう?”カラス”がまずポーズ・ボタンを押すと思うよ。
13.「SPIDER BITE」
毒されたものについてのクールな曲(筆者注:シングル・カットされている曲)
14.「GOING HOME」
2004年の8月25日、俺たちはノース・ウェルズのどこかである行列に遭遇した。俺たちは何だか邪悪な目撃者だった。この曲はその棺の上に書かれた曲さ。
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そして15曲目の「REVENGE」は、いまだ世界一の影響力を誇るLAのハードコア・バンドBLACK FLAGの、81年のファースト・フル・アルバム『Damaged』収録のカヴァー曲。実のところWINNEBAGO DEALは以前も、シングルの『Did it,Done it,Doing It Again』でBLACK FLAGの「Fix Me」をカヴァーした。その両方ともニック・オリヴェリが歌っているのもポイントだろう。昔から彼らはよくライヴでゲスト入りのカヴァーをやるらしく、BLACK FLAGの「Wasted」やTHIN LIZZYの「Jailbreak」も披露したことがある。それもまた二人組のバンドならではのフレキシブルなステージングと言えそうだ。
アルバム・リリース直前にWINNEBAGO DEALは、サンフランシスコでライヴ。続いて二人のベンはMONDO GENERATORの”準メンバー”として、UKツアーに参加。さらに7月には本作のレコ発UKツアーを敢行。アメリカのバンドと違って周囲のバックアップが弱いとは思うが、彼らがじわじわと頭角を現していることは事実。この”日本急襲盤”もその激烈一里塚でしかないのである。
2006年7月30日 行川和彦
2006年09月28日 22:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
「FLIGHT OF THE RAVEN」 CD解説:行川和彦 (4)
けど、むろんジャックにプロデュースを頼み続けているメインの理由は音楽的なものだ。WINNEBAGO DEALは、彼が手掛けてきたバンドのほとんどすべてを最高!と思っているはずである。NIRVANAのファースト・アルバム『Bleach』を手掛けたことで有名なわけだが、MUDHONEYのアルバムをプロデュースし続け、ZEKEなどの次世代のバンドも手掛けている。ジャックはホント80年代後半から現代までシアトル・シーンを支えてきている録音技師だ。言うなれば、彼と一緒に仕事をし続けているってことでWINNEBAGO DEALは、目指す方向性がロックのど真ん中!ってことを強く自己主張している。つまりパンク・ロックとハード・ロックの裂け目で突っ走るロックンロールってことなのである。
そこに英国出身ならではの紳士的な佇まいが自然にブレンドされているのも魅力だ。デュオ編成のロック・バンドとはいえ、キワモノ性を売りにせず王道を突き進む姿勢も潔い。結成当初から彼らの音楽的なヴィジョンは明確だった。ペリエーは言う。
「こういうサウンドにしようっていうヴィジョンを俺たちは持っていた。それは、パンク・ロックの流儀にのっとったソリッドでヘヴィでストレートフォワードなロック。”AC/DC meets BLACK FLAG”みたいなもんだよ」
付け加えさせてもらえるとすれば、プラス、QUEENS OF THE STONE AGEのフリーキーなポップ感を英国伝統のサイケデリック・テイストで無限拡大している。そのQUEENS OF THE STONE AGE元中心メンバーだった、ニック・オリヴェリも今回参加。現在ニックは、QUEENS?のメンバー時代からやっている自身のプロジェクト・バンドの、MONDO GENERATORの一員としてもステージに立っているのだ。
その”ニック+WINNEBAGO DEAL”というトリオ編成は、MOTORHEADともツアー。さらに二人はMONDO GENERATORの新作の録音にも参加した模様。ってわけでニックは今回数曲でバッキング/リード・ヴォーカルを披露した。
2006年09月04日 10:21 | コメント (1) | トラックバック (0)
「FLIGHT OF THE RAVEN」 CD解説:行川和彦 (3)
2004年に入ると4月に7”EP『George Dickel EP』を発表し、9月にはEP『Cobra』、そしてファースト・フル・アルバム『Dead Gone』をリリース。発売元はダブル・ドラゴン・ミュージックで、プロデュースはジャック・エンディノ。自分たちでジャックにオファーを出し、OK!してもらったらしい。引き続き精力的なツアーを決行し、合間を縫って2005年4月には7”シングル『Did it,Done it,Doing It Again』も出す。
そしてこのたび、遂にセカンド・アルバム『Flight Of The Raven』が登場。イギリスでは2006年6月に、デビューEP以来のリリースとなるフィアース・パンダから発表した。
米国シアトルでの録音で、引き続きジャック・エンディノのプロデュース。ジョー・バレッジやアンディ・ウォーレスともやってみたいと彼らは言っていたが、レコーディングにはそれほどお金をかけたくないとも言う。どうやらまだ自分たちでレコーディング費用を出さざるを得ないようで、ジャックは安いところも魅力らしい。と同時に彼はミュージシャンであり、今回けっこう演奏でも参加。スライド・ギター、タンバリン、ピアノ、テルミンなどで、曲に彩りを添えているのだ。
2006年08月31日 19:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
「FLIGHT OF THE RAVEN」 CD解説:行川和彦 (2)
WINNEBAGO DEALに転機が訪れたのは2002年。友達の紹介によりFUGAZIのサポート・アクトを務めるチャンスを得て、翌年のフィアース・パンダ・レコードからのデビュー・ミニ・アルバム『Plata O Plomo』のリリースにつながっていったのだ。フィアース・パンダはイギリスの新人登竜門的なインディ・レーベル。バック・カタログにはASH、SUPERGRASS、BLUETONES、PLACEBO、EMBRACE、IDLEWILD、COLDPLAY、HUNDREDREASONS、MUSIC、DEATH CAB FOR CUTIEなど、豪華メンツが並ぶ。そのへんはコンピレーション盤『Decade : 10 Years Of Fierce Panda』を聴けばよくわかる。けど、90年代以降のいわゆる”UKロック”のイメージそのままの面々の中に、WINNEBAGO DEALが入っているってことは、場違いで喜ばしい。
その勢いのまま彼らは、レディング/リーズ・フェスにも参加。ツアーでは、アンドリューW.K.やBURNING BRIDGESとも一緒にライヴもやったが、NEBULAやHIGH ON FIRE、DWARVESらと対バンし、2003年は100以上のライヴを敢行。8月にはEP『Manhunt』、12月にはNEBULAとのスプリット7”シングルもリリースされた。このへんの流れでWINNEBAGO DEALにストーナー的イメージも付いたのだろうが、それはあながち誤りではない。音から醸し出る妖しき匂いの点で通じる。WILDHEARTSをはじめとする、イギリス伝統のバッド・ボーイズ系ロックンロール・バンドのポップなサウンドとは違う。そんな孤高の存在だからこそ、イギリスの新しい暴威のロックンロール道を切り開き、世界的に飛び立っているのだ。
2006年08月28日 15:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
「FLIGHT OF THE RAVEN」 CD解説:行川和彦 (1)
”イギリスのロックが盛り上がっている!”とか、よくメジャーのメディアは話題にする。けどそのへんが騒ぐやつって、結局80年代のニューウェイヴ?90年代のブリット・ポップの流れのアーティストがほとんど。ストーナー系はこの世に存在しないことになっている。CATHEDRALやELECTIC WIZARD、ORANGE GOBLINですらも黙殺。それ以前に、ワイルドなパンク/ロックンロール自体がまともに取り上げられていないのも、今のイギリスである。
そんな中でWINNEBAGO DEALはイギリスのシーンで孤軍奮闘。そういう逆境を武器に、今や世界規模でアピールしている真正ロックンロール・バンドなのだ。
結成は99年。当初は4人編成だったが一人ずつ減っていき、やがてベン・ペリエー(ヴォーカル、ギター)とベン・トーマス(ドラムス他)という、今の編成になった。スタートした時まずトーマスはギターを弾いていて、次にベースにパート・チェンジして結局ドラムを叩くことになり、音的にベーシスト抜きでも問題がない叩き方を生み出す。今25?26歳のはずだが、二人はオックスフォードの学校で16歳の時に出会い、WINNEBAGO DEAL以前にもいつくかバンドを一緒にやってきた。同じような音楽のテイストを持っていて目指すところも同じだから、言い争いの類はないそうだ。しかも4人組などのバンドと違い、他のメンバーの意見やアイデアに耳を傾ける”手間隙”もほとんどないのである。
バンド名だが、”Winnebago”というアメリカのウィスコンシン州の郡の名前でもあり、ウィーネベーゴ湖というのもある。ただ実際は、キャンピング・カーを専門とするアメリカの自動車メーカーの社名から取ったようで、彼ら敬愛のBLACK FLAGをはじめとする、バンでツアーを回るアンダーグラウンドのバンド生活に由来する。とはいえペリエーによれば、単に自分らが”Winnebago”と”Deal”の言葉が好きなだけらしい。