Future Ship 〜episode0〜

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いつも凄くスーパーソニックを気にかけてくれる、ある方の計らいで、渋谷にて会食が行われたある日の話。その日、大詰めを迎えたプロジェクトの対応があり、不覚にも私だけ遅れての参加になってしまった。(Kさん、Sさん、本当に申し訳ありませんでした。)

プロジェクト対応は、当初の予定より早く無事におさまり、約束の場に向かった。いつもの様に、数え切れない人が行き交う渋谷の夜。

ふと、見上げれば静かに桜が咲き始めていた。

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食事会の会場に到着すると、皆が楽しそうに食事をしている。早くも結構飲んでる様子の、うちのメンバーもいる。笑 その会では、Kさんのお仕事の話を中心に、多岐にわたる話で盛り上がった。その後、もう一杯だけという簡単な二次会を行い、解散となった。

AM3:00からの仕事は突然に

時刻は真夜中の3時を過ぎ、すでに私は帰宅する術をなくしていた。と言っても「始発までの90分間を、どの様に過ごすか。」という事だけの話なのだが・・・。そこで、この90分間を考案中のプロジェクトに使う事にした。

3時からでも仕事はできる!全容については、お話する事ができないため、ご了承いただきたい。

少し話は逸れるが、仕事について最近Twitterで呟いた内容がある。常々思っていることでもあるのだが、よくプランニングの初段階などで、「こういう人たちのために。」とか、「こういう層に。」と推測立てた発言をしたり、耳にする事がある。その場では、あたかもそういった人達が存在している様に感じるのだが、本当にいるのかは疑問が残るのである。あたかも世の中を、網羅し平均値を捉えているかの様な発言にも聞こえ、納得がいかない時がある。もしかしたら、私の考えすぎかもしれない。しかし自分が感じていることが、間違いだと証明するためにも、発言にある「こういう人」を、一人でも良いから連れてきてほしいと思うのである。

私は、必要な物事に対して、すぐに行動に移す様にしている。例えば、お客様がプロモーションに必要となる展示ブースが発生した際には、すぐに候補地を探し、視察に伺う。その流れで、候補地の担当者者がどなた様で、ブースを抑えるためには何が必要なのか、どんどん消化していく。

そして今、考えているプロジェクトの細部に消化しきれていない課題があった。

それは若者のリアルである。ここでは、仮に20代を若者という事にしよう。一番流行に敏感な世代でもあり、いろんな業界の会社さんが、必ずと言って良い程にターゲット層の話題として出してくる世代でもある。何年か前までは、私も経験してきた年齢だから推測が立つと高を括っていた。しかし、気がつけば私も年齢をガッツリと重ねていて、今の20代は私とは全く違う背景のもとで育まれていてるんだなと日々感じ始めていた。もう推測では、到底及ばない現実。涙

さて、話は戻り、深夜の渋谷で課題についてどうしようかと考えいると、よく使うお店があったので入ることにした。しかし、その日は週末という事もあり、満席で入店する事すらできなかったのだ。

ともあれ、人生というのは不思議なものだ。そこで、対応してくれた店員さんと仲良くなり、始発までの時間、立ち話をする事になった。

24歳の今

入ろうとしたお店について、いろいろと話をしていると、段々と話題の方向性は変わっていき、彼の身の上話になっていた。光栄な事に、私は人生相談をちょくちょく受ける。その「ちょくちょくオーラ」が出ていたのかもしれない。

店員さんは、24歳の男性で、もともとは美容業界に身を置いてた。頑張っていたのだが、いろいろと思うところもあり、アパレル業界に転職をする。しかし、人間関係や仕事における立ち位置など、多岐に渡る理由が重なり会社を辞めてしまい、今のお店で働く事に至ったという事だ。

そんな彼の話の中で、一番驚いたのは、自分名義の部屋は借りておらず、友人宅に居候をしているという事だった。なぜ、そんな事になっているのかと聞くと、これからの目標を実現するために「いらないものリスト」を作ったそうだ。その計画立てをした時に、まずいらないと判断したのが「部屋」だったらしい。(大胆!)

現在の友人とは違う友人の家に住まわせてもらっていた時期もあったらしいが、家主と出ていくしかない衝突が起こり、ネット難民を1日とは言え経験しているらしい。あっけらかんと語る彼が、そこまでする理由は、海外へ行く資金を貯める目標が起因している。少し表情は真剣になり「海外に出て、自分を試してみたい。」と言っていた。

赤裸々に話してくれた、彼の静かな表情の奥に、うっすらと!しかし確かに!情熱を感じた。そして何故か、その時、静かに咲こうとしていた桜を、ふと思い出した。

また、彼が教えてくれた話の中で、凄く印象的だったのが、「自分の周りの24歳って、みんな焦ってますよ!」という話だった。これは私の仕事における20代がいない打ち合わせの席での話ではあるが、話題に出る20代と言えば、どこか”ゆとり世代”特有の、おおらかさを持っていて、大袈裟に言い換えれば、焦りとは無縁の世代と思っている節が、やはり私の中にはあったからだ。

焦りの理由について尋ねると、「20代前半のうちに道を決めないといけない。」という使命感から焦りの様なものが生まれるらしい。彼らの中で24歳という年齢は、20代前半、最後の1年なのだ。

忘れ去ってしまっていた、私も通ってきた「24歳」のあの頃。

毎日が新鮮な空気に包まれている様に感じた。理由もなくキラキラとしていた。しかし、青春らしい青春を謳歌しながらも、確かに焦りながら、道なき道を探していた様に感じる。そう思えた時に気づいた事がある。

推測立てた若者の輪郭について、私は間違った認識をしていた点があるという事。また、反対に推測が正しかった点もあったという事。この間違った認識の中には、私自身の経験や、その記憶の劣化が招いた点も少なからずあったのだと感じる。

たまたまが招いた出会いと、そこで生まれた会話から、私は少し課題を解消した。そして、同時に忘れかけていた24歳の自分を思い出した。

つづく。

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